自分の家はどれぐらいの蓄電容量がいいのか分からないという方は多いことでしょう。どうやって計算すればよいのか。また太陽光発電の容量が6kWだから蓄電池の容量は6kWhで選んでいいのと思っている方もいますが、その選び方は間違いです。
こんなお悩みを持っている人
- 蓄電容量の選び方を知りたい方
- 大容量でおすすめのメーカーが知りたい
そんな不安を抱えている皆さんに、少しでも問題解決できるように分かりやすく蓄電容量の選び方について解説していこうと思います。

【この記事の信頼性】
太陽光業界に2009年から活動している運営者が、メーカーや販売業者、商社から色々情報を入手して、蓄電池の勉強をしたい人向けに、失敗しない家庭用蓄電池導入方法の解説をしています。
この記事は、蓄電池を検討している方に、蓄電容量の計算方式、大容量でおすすめのメーカーをお伝えしていきます。
この記事を読むメリット
この記事を読んで頂ければ、自分の家にはどのメーカーで、どの蓄電容量を選べばよいか解決できます。
蓄電容量が大容量で済む方は、割高の時間の消費電力が240kWh以上あったり、売電量も240kWh以上あったりするご家庭になります。また、エコキュートの湯沸かしも太陽光発電で使用すれば、更に電気代を効率的に安くできます。
大容量でおすすめの蓄電池メーカーは、シャープ・長州産業・ニチコン・パナソニックになります。
実効容量を知ろう
蓄電池のカタログとかみていると実効容量ってなに?って思ったりしませんか?蓄電池で計算するのに必要な容量は「実効容量」になります。太陽光発電の単位は「kW」で表しますが、蓄電池の単位は「kWh」という単位で表します。
何が違うの?よくわからないという方もいると思いますので、最初に解説しておきます。
kWとkWhの違い
蓄電池の容量を検討する際に、太陽光発電の容量と比較する方が多くいらっしゃいますが、蓄電池と太陽光発電の単位は違いますので、比較対象外になります。
太陽光発電は「kW(キロワット)」で表し、瞬間の電力の単位になります。
また蓄電池は「kWh(キロワットアワー)」で表し、1時間に溜めた電力の単位になります。
例えば、太陽光発電が3kW発電していれば、それは瞬時に3kWの電気を作っているということになり、それが1時間継続的に発電すれば、3kWhの電気を作り出したということになります。
定格容量と実効容量の違い
蓄電池の容量には「定格容量」と「実効容量」があります。蓄電池に電気を溜めれる容量を指すのは「実効容量」になります。では、何が違うのか解説していきます。
定格容量とは、規定された条件下で電気を溜めることができる量のことをいいます。いわゆる蓄電池に溜めることができる容量です。これは蓄電池容量が0%にならない為に設けているのです。
実効容量とは、蓄電池に溜めた電気を使うことができる容量のことをいいます。
なので実際に使うことができる電気は、実効容量になりますので、蓄電容量を決める際は「実効容量」の数字を確認して選ぶようにしていきましょう。
蓄電池の容量を計算する方法
では、単位や容量の目安がわかったところで、次は計算方法をお伝えしていきます。家電製品などの出力は「W(ワット)」で表記されており、1000Wですと1kWになります。
これを踏まえると計算式は、
「使う家電製品の出力(W)✕ 使う時間(h)=電力量(kWh)」になります。
例えば冷蔵庫(600W)、テレビ(150W)、照明(50W)、エアコン(700W)を3時間使うと必要な電力はいくらでしょうか。
計算式:冷蔵庫(600W)+ テレビ(150W)+ 照明(50W)+ エアコン(700W)✕ 3時間=4,500Whなので、つまり4.5kWhということになります。
上記の家電製品は万が一の時に使いたい家電製品にランクインしてきます。なので、もう少し長時間使いたいという希望でしたら蓄電池の容量は6kWh以上が必要になってくるでしょう。
蓄電容量の決め方【大容量編】
本題に入っていきましょう。蓄電池の容量が大容量に向いているご家庭は、どういった家なのか解説していきます。ここで考えていく点は4つです。
- 電気代から考える
- 売電量から考える
- エコキュートで消費してから考える
- 停電時から考える
電気代から考える
まずは電気代を目線にした決め方です。せっかく蓄電池に電気を溜めておいてもすぐ使い切っちゃたら困ると思います。例えば大食の方に子供用の料理を出してもペロリと食べちゃいます。
そうならないためにも、実際に使う電気を溜めることが最適な蓄電容量と言えるのです。

売電量から考える
次は太陽光発電の売電量を目線にした方決め方です。売電量目線で考えていきますので、意外と簡単な決め方になります。毎月の売電量を算出し、日割り計算すると蓄電容量の目安が出てきます。
こちらがその月ごとの蓄電容量の目安になります。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
売電量: kWh/月 |
256 | 281 | 372 | 409 | 422 | 347 | 294 | 384 | 307 | 281 | 256 | 230 |
売電量: kWh/日 |
8.5 | 9.3 | 12.4 | 13.6 | 14 | 11.5 | 9.8 | 12.8 | 10.2 | 9.3 | 8.5 | 7.6 |
こう見ていきますと、12月だけが一日あたりの売電が8kWh未満になっています。その他は8kWh以上になっています。
なので、8kWh未満の蓄電池を選んでも蓄電池からあふれる電気多くなりますのでもったいないです。

エコキュートで消費してから考える
3つ目は、余った電気をエコキュートで消費してから電気を溜めていく決め方になります。売電量目線の考え方にエコキュートの消費電力を差し引けば蓄電容量の目安が出てきます。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
売電量: kWh/月 |
360 | 374 | 424 | 446 | 453 | 411 | 381 | 432 | 388 | 374 | 360 | 345 |
エコキュートの消費 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 | 150 |
余った電気: kWh |
210 | 224 | 274 | 296 | 303 | 261 | 231 | 282 | 238 | 224 | 210 | 195 |
売電量: kWh/日 |
7 | 7.4 | 9.1 | 9.8 | 10.1 | 8.7 | 7.7 | 9.4 | 7.9 | 7.4 | 7 | 6.5 |
太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)が終了したご家庭は、安い単価で売電するよりも自家消費したほうが経済的に有効になります。
そのため夜間電力を使って、エコキュートの湯沸かしをするよりは、お昼間の余剰電力を活用し他方がお得になります。

停電時から考える
最後に停電時を目線にした決め方になります。どういうことかと言いますと、停電になった時に使いたい家電製品を何時間使いたいか考えていく方法です。いざ停電が起きて、使いたい家電製品が使えなかったら困るご家庭もあると思います。また停電時に使える電気は、蓄電池を検討する際に特定負荷型と全負荷型の2つのプランがあります。
特定負荷型は、分電盤の回路の一部が使える。
全負荷型は、分電盤全体の回路が使える。
例えば特定負荷型で停電時に使いたい家電製品が下図であったとします。
上記の家電製品の消費電力を足したら1,540Wになります。1,540Wを1時間使いたいと考えると1.54kWhの電気が必要になってきます。というふうに停電時には1.54kWhの電気が必要になてきます。
また、全負荷型で停電時に使いたい家電製品が下図であったとします。
上記の家電製品の消費電力を足したら5,840Wになります。1,540Wを1時間使いたいと考えると5.84kWhの電気が必要になってきます。というふうに停電時には5.84kWhの電気が必要になてきます。
なので停電時に使いたい電気が変われば蓄電池の停電対策プランもかわり、蓄電容量も変わってくることになります。

家電製品の消費電力
停電時に使いたい家電製品はあるけど、実際どのくらいの電力を使うかがわからないという方は多いです。なので、ここでは停電時に使いたい家電製品の電力を載せていきます。参考にしてみてください。

大容量に向いていないご家庭
数年で家族が減るご家庭は大容量に向いていないです。導入直後は大容量で良いけど1,2年後に子供が外に出るなどといった場合、家族が減れば電気使用量も減り結局溜めた電気を使い切れなくなったりします。そうなればもったいないですよね。そこにお金をかけるなら、エコキュートやエアコン等もっと節電に効果があるところに費用を使うことをおすすめします。
おすすめの大容量メーカー
大容量タイプで問題ないというご家庭に関しては、どのメーカーが良いのか気になりますよね。なので、大容量でおすすめできるメーカーを4つ紹介していきます。
①シャープ
シャープの大容量の蓄電池は9.5kWh(実効容量8.1kWh)と13.0kWh(実効容量10.7kWh)になります。
おすすめ理由は、サイクル数(寿命)が長寿命設計で12,000回の充放電を繰り返しても70%維持できる設計です。またハイブリッドパワーコンディショナなので、蓄電池を設置する際にパワーコンディショナを交換しておけば長期的に安心して使用することができます。
9.5kWhは特定負荷か全負荷が選べますので、ライフスタイルにも合わせられます。
またHEMSを組み合わせることによって、天気予報と連動したり、AI機能が搭載で、ライフスタイルに合わせて効率的なエネルギーマネジメントも可能です。
②長州産業
長州産業の大容量の蓄電池は9.8kWh(実効容量8.3kWh)と14.08kWh(実効容量12.4kWh)、蓄電池は16.4kWh(実効容量14.2kWh)になります。
おすすめの理由は、大容量なのに蓄電池ユニットがコンパクト。特に16.4kWhに関しては、蓄電池ユニットが1つなので置き場所に困りにくいです。
また単機能型蓄電池やハイブリッド型蓄電池も選べます。
複雑な料金プランにも対応しているので、大手電力会社はもちろん新電力のプランにも対応できます。
③ニチコン
ニチコンの大容量の蓄電池は11.1kWh(実効容量9.4kWh)、12kWh(実効容量10.3kWh)、16.6kWh(実効容量14.4kWh)になります。
おすすめ理由は、単機能型蓄電池でほとんどの太陽光発電メーカーに設置することができます。
12kWhタイプはハイブリッド型蓄電池もあります。
また11.1kWhと16.6kWhはV2Hとの連携も可能なので、電気自動車を持っている方は非常時にとても利便性が良くなります。
③パナソニック
パナソニックの大容量の蓄電池は11.2kWh(実効容量8.9kWh)になります。
おすすめの理由は、パワーコンディショナで4回路まで入力できるので、パナソニックの太陽光発電を設置しているほとんどのご家庭が対応できることでしょう。パナソニックの太陽光発電を設置している方にオススメできます。
まとめ
大容量に向いてるご家庭向けに蓄電容量の選び方を紹介してきました。
蓄電容量が大容量向けのご家庭は、割高の時間の消費電力が240kWh以上あったり、売電量も240kWh以上あったりするご家庭になります。
また、エコキュートの湯沸かしも太陽光発電で使用すれば、更に電気代を効率的に安くできます。なるべく必要な家電製品で消費してから余った電気を溜めれば効率もアップします。
そして大容量タイプでおすすめの蓄電池メーカーは、シャープ・長州産業・ニチコン・パナソニックになります。
少しでも実質負担を下げて導入するには、相見積もりを取ることは必須です。ソーラーパートナーズなら地元企業で優良な業者の見積もりが無料で取得できますので、良ければ活用してみて下さい。